相続放棄の手続
相続放棄の手続は、簡単そうに見えて意外と奥が深い
相続放棄の手続とは「家庭裁判所に相続放棄に必要な書類を提出し、審理の結果、裁判所に受理されること」です。
「他の相続人宛に相続放棄すると書面にして送った」、「金融機関の担当者に相続放棄したことを口頭で伝えた」、などで、相続放棄が成立していると勘違いされる方が大変多くいらっしゃいますので、そうではないことを再度ご確認ください。
さて、下記に相続放棄に必要な手続の流れと必要書類を記しておきますので、参考になさって下さい。
相続放棄の手続の流れと必要書類
1.相続放棄の手続に必要な書類を収集する
相続放棄に必要な書類一覧は、以下の通りです。
- 亡くなった方の戸籍謄本
- 亡くなった方の住民票
- 相続放棄する人の戸籍謄本
- 相続放棄する人の住民票
- 相続放棄申述書
- 収入印紙800円
- 郵便切手(裁判所によって異なる)
※あくまで基本的に必要になるものですので、裁判所での審理の中で、他の書類が必要になる場合もあります。
2.管轄の家庭裁判所を確認する
提出する家庭裁判所の場所は、亡くなった方の最期の居住地を管轄する家庭裁判所です。
3.相続放棄申述書に必要事項を記入する
相続放棄申述書に、必要事項を記入し、捺印をします。
4.家庭裁判所に、用意した書類等を提出する
上記「2」で調べた家庭裁判所に、次のものを提出します。
- 相続放棄申述書
- 必要書類
- 郵便切手
家庭裁判所へ直接出向いて提出するか、郵便で送付提出するかになります。
5.家庭裁判所が送付する照会書に、回答して返送する
家庭裁判所に必要書類を提出後、家庭裁判所より「照会書」という書類が送付されてきます。
照会書とは、裁判官からの質問状です。
裁判官が、「相続放棄をすべきか否か」を判断する際に、参考にする資料として申立て本人の照会がなされます。 この「照会書」の質問に対する回答を記入して郵便で返送します。
回答の内容に、事実に反することや、申立書と違う点が無く、家庭裁判所が審理をした結果、相続放棄を認めていいだろうと判断されると、「相続放棄申述受理通知書」が家庭裁判所より届きます。 (※相続放棄申述受理通知書」は、相続放棄が認められたという通知書です。)
以上が相続放棄手続の、もっともオーソドックスな流れになります。しかし、これはあくまで典型例であり、相続人の置かれている状況によっては、上記とは異なる手続が必要になったり、裁判所から難しいことを質問されたりする場合もあります。そういった意味では、簡単そうに見えて実は奥が深い手続ということになります。
この相続放棄という慣れない手続でミスをしてしまったり、相続放棄申述書の提出が期限までに間に合わないと、莫大な借金や負債を背負い込むことになってしまいますので、「きちんとした手続に則った相続放棄」ができるように、相続放棄に特化している経験豊富な専門家への依頼を是非ご検討ください。